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住宅ローンの繰り上げ返済と投資はどっち?数字と安心感で考える方法

住宅ローンの繰り上げ返済と積立投資へ余裕資金を配分するイメージ

はじめに

毎月の家計に余裕が生まれたとき、そのお金を住宅ローンの繰り上げ返済に使うべきか、それともNISAなどで投資すべきか。借金が減る安心感も、長期投資による資産形成の可能性も捨てがたく、簡単には決められない問題です。この記事では、7,500万円の住宅ローンと月15万円の余裕資金を例に、両者の違いと判断基準を整理します。

ななみがこの悩みをどのような言葉や思いで語っているかは、YouTube動画でもご覧いただけます。数字だけでは伝わりにくい「安心」と「自由」の違いも、動画を見るとより具体的にイメージできるかもしれません。

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住宅ローンの繰り上げ返済と投資を比べる前提

今回想定する住宅ローンの条件は、次のとおりです。

  • 借入額:7,500万円
  • 返済期間:30年
  • 金利:年2%
  • すでに返済した期間:1年
  • 毎月の余裕資金:15万円
  • 余裕資金を毎年3%ずつ増額
  • 投資の想定リターン:年6%

投資先は、NISA口座などを利用した全世界株式のような、幅広く分散されたインデックスファンドを想定しています。

年6%は保証された収益率ではありません。株式市場は上昇する年も下落する年もあり、手数料などの影響も受けます。以下の金額は、あくまで条件を固定した計算上の結果であり、将来の運用成果を示すものではありません。

月15万円をすべて投資した場合

繰り上げ返済は行わず、住宅ローンを予定どおり返しながら、2年目から毎月15万円を積み立てるケースです。積立額は収入の増加に合わせ、毎年3%ずつ増やすものとします。

これをローンの残り期間である29年間続け、年6%で運用できた場合、計算上の運用資産は約1億9,000万円になります。

住宅ローン金利が年2%、投資の想定リターンが年6%なら、数字の差だけを見ると投資が有利に思えます。しかし、年6%は期待値であり、毎年同じように増えるわけではありません。一方、住宅ローンの利息は契約条件に沿って発生します。

この「確定している負担」と「不確実な成長可能性」の違いを理解することが重要です。

住宅ローン返済の元金と利息の仕組み

7,500万円を年2%、30年で借りた場合、毎月の返済額は約28万円です。

最初の月では、このうち約12万5,000円が利息で、元金の返済は約15万円です。返済した金額のすべてが、そのままローン残高を減らすわけではありません。

1年間で約330万円を支払っても、ローン残高は約7,300万円です。一般に返済初期ほど利息の割合が大きく、返済が進むにつれて元金の割合が増えていきます。

また、変動金利で借りている場合、当初の金利が30年間続くとは限りません。固定金利か変動金利かは、繰り上げ返済と投資を比較するうえで欠かせない確認項目です。

月15万円をすべて繰り上げ返済した場合

毎月の余裕資金15万円を、すべて繰り上げ返済へ回すケースも見てみましょう。こちらも追加返済額を毎年3%ずつ増やします。

通常返済とは別に支払う資金は、基本的に元金を直接減らします。元金が早く減れば、その後に発生する利息も抑えられます。

この条件では、30年の住宅ローンを約16年3か月で完済できる計算です。返済期間は約14年短縮されます。

通常どおり30年間返済した場合の利息総額は約2,500万円ですが、繰り上げ返済を続けた場合は約700万円です。差額となる約1,800万円の利息負担を避けられます。

さらに、完済後は通常返済と追加返済に使っていたお金が自由になります。完済時点では、毎年増やしてきた追加返済を含め、月約50万円を投資へ回せる想定です。

その資金を残り約13年9か月、年6%で運用すると約1億3,000万円。避けられた利息約1,800万円を加えた経済的な効果は、計算上約1億4,800万円です。

全額投資の約1億9,000万円と比べると、約4,200万円の差があります。ただし、この比較は投資が想定どおり推移することを前提としています。

投資には「リターンの順番」によるリスクがある

長期の平均リターンが年6%になったとしても、資産が毎年6%ずつ安定して増えるわけではありません。大きく上昇する年もあれば、その翌年に大幅に下落する可能性もあります。

同じ市場へ同じ期間投資しても、開始時期や下落が起きる順番によって、最終的な資産額は変わります。特に、資金が必要になる直前に市場が下落すると、予定していた金額で取り崩せないことがあります。

積立投資には、価格が下がったときに多くの口数を購入できる面があります。しかし、それによって市場下落の影響がなくなるわけではありません。

繰り上げ返済には、市場価格の変動がありません。年2%の住宅ローンを減らすことは、条件が変わらない限り、その部分にかかる年2%の利息負担を避けることにつながります。

投資の年6%は期待値である一方、返済で避けられる利息は、より確実性の高い効果として捉えられます。

税金と手元資金も含めて比較する

投資と住宅ローン金利を比べる際は、表面上の数字だけでなく、税金や資金の使いやすさも確認する必要があります。

通常の課税口座で得た株式や投資信託の利益には、原則として約20%の税金がかかります。NISA口座の運用益は非課税ですが、利用できる枠には制度上の上限があります。

一方、繰り上げ返済によって払わずに済んだ利息には税金がかかりません。

ただし、繰り上げ返済したお金は、必要になったときにすぐ現金へ戻せるとは限りません。住宅ローン残高は減っても、手元の現金が不足すれば、失業や病気などへの対応が難しくなる可能性があります。

そのため、投資と返済のどちらを選ぶ場合でも、先に生活防衛資金を確保することが大切です。

自由資金ルールで投資と返済を両立する

投資か繰り上げ返済かを、どちらか一方に決める必要はありません。

番組で紹介している「Fスクエアルール」は、自由を意味するフリーダムと、将来の資産をつくるファンドを同時に育てる考え方です。ここでは「自由資金ルール」と呼びます。

方法は、毎月の余裕資金を投資と繰り上げ返済の両方へ分けるだけです。

例えば、次のような配分が考えられます。

  • 投資60%・返済40%:資産形成をやや重視する
  • 投資50%・返済50%:両方を同じ割合で進める
  • 投資70%・返済30%:長い運用期間を生かす
  • 投資30%・返済70%:固定負担の軽減を重視する

これは厳密な数式ではなく、自分が大切にしたい自由を確認するための目安です。

年齢に応じて配分を変える

20代や30代は、投資できる期間を長く取りやすいため、投資の割合を高める考え方があります。

一方、退職が近づいている場合は、返済の割合を増やし、収入が減る前に毎月の住居費負担を軽くする方法も検討できます。

年齢だけで一律に決めるのではなく、収入の安定性や家族構成、値下がりへの耐性も含めて判断しましょう。

金利を基準にした考え方

番組では、日本の環境を前提とした一つの目安として、次のように整理しています。

  • 年5%超:繰り上げ返済を強く優先
  • 年1%未満かつ長期固定:投資を優先する余地がある
  • 年1%から5%:投資と返済の組み合わせを検討

ただし、これは普遍的な正解ではありません。固定金利か変動金利か、収入が安定しているか、投資の値下がりにどこまで耐えられるかによって判断は変わります。

50対50で分けた場合のシミュレーション

毎月15万円を、投資と繰り上げ返済へ7万5,000円ずつ分けるケースです。どちらも毎年3%ずつ増額します。

この場合、住宅ローンは約21年で完済でき、返済期間を約9年短縮できます。支払わずに済む利息は約1,200万円です。

一方、月7万5,000円から始めた投資は、29年後に約9,500万円まで成長する計算です。

21年目にローンを完済した後は、それまで投資と返済に使っていた月50万円を超える資金をまとめ、残り約9年間投資へ回せます。この部分は約7,500万円になる想定です。

計算上の内訳は次のとおりです。

  • 当初から続けた投資:約9,500万円
  • 完済後に始める投資:約7,500万円
  • 避けられた利息:約1,200万円
  • 合計の経済的効果:約1億8,200万円

全額投資の約1億9,000万円との差は約800万円です。その代わり、住宅ローンを約9年早く完済できます。

どちらを重視するかは、資産額だけでなく、住宅ローンがなくなる安心感をどう評価するかによって変わります。

繰り上げ返済を優先しやすいケース

次のような状況では、投資より返済を優先する意味が大きくなります。

高金利の借金がある

クレジットカードのリボ払いや高金利の消費者ローンがあり、年15%から18%ほどの金利を負担しているなら、住宅ローンより先に返済を検討する必要があります。

長期の株式投資でも、その金利を確実に上回れるわけではありません。

退職まで10年を切っている

退職後にも住宅ローンが残ると、収入が減った後の固定費負担が重くなる可能性があります。退職前の完済を重視する考え方には、家計を安定させる意味があります。

仕事や収入が不安定

勤務先や業界への不安が大きい場合、借金を減らすことは家計の破綻リスクを抑えることにつながります。

借金が心身の負担になっている

ローン残高を見るたびに眠れなくなったり、日常生活を楽しめなくなったりするなら、繰り上げ返済は心の安定を取り戻すための選択にもなります。

数学的な期待値が高くても、その方法を続けることで毎日が不安になるなら、人生全体で最適とは限りません。

投資を優先しやすいケース

非常に低い固定金利で長期間借りられており、返済額も安定している場合は、余裕資金を長期投資へ回す合理性が高まります。

また、20代や30代には長い運用期間があります。25歳から始める場合と35歳から始める場合では、複利が働く期間に10年の差があります。

ただし、投資を優先する前に、次の条件を確認しましょう。

  • 失業しても6か月から12か月生活できる現金がある
  • 市場が下落しても積み立てを継続できる
  • 近い将来に使う予定のお金を投資へ回していない
  • 住宅ローンが変動金利なら、金利上昇も想定している

勤務先に奨励金のある従業員持株制度などがある場合は、その内容を確認してから残りの資金配分を考える方法もあります。

最後の判断基準は「自分にとっての経済的自由」

同じ住宅ローンでも、受け止め方は人によって違います。

借金がなく、毎月の返済を気にせず眠れることを自由と感じる人もいます。反対に、住宅へ資金を集中させず、金融資産を持つことで転職や引っ越し、新しい挑戦がしやすくなると考える人もいます。

どちらかが間違っているわけではありません。求めている自由の形が違うのです。

証券会社のアプリや住宅ローンの返済表を開く前に、紙へ次の問いを書いてみてください。

「私にとって、経済的自由とは何だろう」

今の収入、家族、仕事、年齢、健康、性格を含めて考えます。

時間を味方につけ、値下がりにも耐えられるなら、投資を優先する考え方があります。借金を抱えた状態がつらく、安心して眠ることを重視するなら、繰り上げ返済を選んでもよいでしょう。

両方に魅力を感じるなら、50対50や60対40のように分ける方法があります。重要なのは、誰かの正解をそのまま受け入れるのではなく、リスクと利点を理解して自分で決めることです。

住宅ローンの繰り上げ返済と投資に関するFAQ

住宅ローンの繰り上げ返済と投資は、結局どちらが得ですか?

今回の前提では、計算上は全額投資の経済的効果が最も大きくなりました。ただし、年6%の運用成果は保証されません。繰り上げ返済には利息を抑え、完済時期を早められる利点があります。金額だけでなく、リスクと安心感を含めた比較が必要です。

投資や繰り上げ返済より先にすることはありますか?

生活防衛資金の確保です。失業しても6か月から12か月生活できる現金がなければ、まず手元資金を用意する考え方があります。繰り上げ返済した資金は、必要になっても簡単には現金化できません。

変動金利の場合は繰り上げ返済を優先すべきですか?

一律には決められませんが、将来の金利上昇を考慮する必要があります。現在の金利だけで判断せず、返済額が増えた場合にも家計を維持できるか確認しましょう。

投資と繰り上げ返済を半分ずつにしてもよいですか?

選択肢の一つです。今回の50対50の試算では、約9年早く完済しながら投資も継続できました。一方だけに決めることが不安なら、自分の年齢や収入、リスク許容度に合わせて配分できます。

借金が気になって眠れない場合も、投資を優先すべきですか?

数字上の期待値だけで決める必要はありません。借金が心身へ強い負担を与えているなら、繰り上げ返済によって安心を得ることにも価値があります。家計の判断は、資産残高だけでなく生活の安定も含めて考えます。

まとめ

住宅ローンの繰り上げ返済と投資には、それぞれ異なる役割があります。

  • 投資には長期的な資産成長の可能性があるが、成果は保証されない
  • 繰り上げ返済は元金と将来の利息を減らし、完済時期を早められる
  • 投資と返済を比較するときは、金利、税金、値下がりリスクも考える
  • 投資や返済の前に、生活防衛資金を確保する
  • 年齢、収入の安定性、退職までの期間、心理的負担によって適切な配分は変わる
  • 一方に決められなければ、余裕資金を両方へ分ける方法もある

すべての人に共通する唯一の正解はありません。数字を学ぶ目的は、数字に人生を支配させることではなく、自分が望む生活を選びやすくすることです。

このテーマについてさらに理解を深めたい方は、「ファイナンスおばさん・ななみ」 の番組もぜひフォローしてください。

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ご注意

本記事は情報提供・エンターテインメントを目的としたものであり、投資・金融 アドバイスを行うものではありません。投資に関する最終判断は、ご自身の責任 において行ってください。